帝立愚連隊

いつか読もうと思って何かまだ読んでない本のひとつに『いちばんうしろの大魔王』があるのですが、読む前に帝立愚連隊の話をしよう。
帝立愚連隊とは何か?いちばんうしろの大魔王がヒット(?してるのか?)中の水城正太郎が2006年に出したライトノベル。大正時代っぽい架空の日本を舞台にした伝奇バイオレンスで、雰囲気としては帝都物語山田風太郎といったところでしょうか。魔術が実在し、密かに軍事利用の研究が進んでいる、といった設定です。私はそういうウソ歴史もの大好き。

帝立愚連隊 (竹書房ゼータ文庫)

帝立愚連隊 (竹書房ゼータ文庫)

「魔術」を使うものたちが自らの能力を駆使し、密かに国家の覇権をかけて争いを続けている時代―。赤木宗一郎は軍人一家に育ち、軍籍もあるにも関わらず、昼行灯を決め込む自由人。彼は古来より伝わる鉄砲術「大東流合気銃術」を体得しているが、それを役立てることもなく、日々を楽しく過ごしていた。しかし、怪人シリル・クロウリーの陰謀を目の当たりにし、それを阻止するために立ち上がる。ともに戦うは大刀使いの少女、不良メイド、傀儡使いの少女たち!はたして、彼らは帝都の危機を救うことができるのか!?荒唐無稽、痛快無比の伝奇アクションがここに誕生。

背表紙の紹介文ですが……ウソです。全然こんな内容ではありません。だいいち赤木宗一郎は主人公ではない。


実際にはこんな内容です。

大正天皇の義妹vsルドルフ・シュタイナー


意味がわからないですか? ではもう少し詳しく。
アレイスター・クロウリーっぽい怪人に魔界転生っぽい魔術をかけられて若返り、危険人物となってしまったルドルフ・シュタイナーっぽい怪人が、こちらは普通にもとから危険人物であるところの北一輝っぽい怪人とともに巨大ロボットとゾンビの大群を率いて東京を襲撃してくるので、大正天皇っぽいやんごとなきお方の義妹と、勅命によって密かに組織された魔術結社(構成員4名。予定のメンバーはほとんどクロウリーっぽい怪人によって呪殺された)が迎え撃つ話」


うん。こんなヤバイあらすじ背表紙に書いたら誰に襲撃されても文句は言えないかもしれない。ミヒャエル・エンデが草葉の影で滂沱。


で、面白いのかというとこれが馬鹿みたいに面白い。というか、作者は馬鹿だ。
ド派手でハッタリの利いたアクションや、無意味に大量の人死にが出る展開もいい。
歴史上の偉人が荒唐無稽に戯画化されたうえに露骨な悪の幹部みたいな役を振られるのも楽しい。特に北一輝が別に洗脳されたわけでもなく普通にテロリストなのは笑える。


こんなに面白い帝立愚連隊の続編が出ないと思うのはおかしいと思うので是非今度は帝立愚連隊をアニメ化してください。