ハンターズ・ムーン読んだ

TRPGやりたいよう。
齋藤高吉は墜落世界以来のファンです。何よりテキストが好き。妄想性RPG書籍化されないかなあ。シニカルかつ大人気ない文体は何度読んでも笑える。今回もリプレイパートで炸裂しています。さすがにルールパートではおとなしめだった。墜落世界はルールでもやりたい放題だった気がする。
前半がリプレイ、後半がルールって言う構成はサイコロ・フィクション共通のようです。これはお得感があって商売上手。新書版の利点を生かしてると思う。良いプレイ例でルールが分かりやすくなるしね。ピーカーブーもシノビガミも実験的なシステムだったし。

リプレイ部、1行目から齋藤節全開。

 部屋には異常な緊張感が漂っていた。
 サイコロを手の中でもてあそび、鋭い音をたてるプレイヤーがいる。キャラクターシートを眺めながら舌打ちをするもの、ルールサマリーを異常な速さでめくり続けるものもいる。彼らは一様に暗い目をしていた。
 キャラクターが死にそうなのだ。

ゲームマスター(以下GM):先制判定を。
梓:ちょ、ちょっと待って。このままだと……。
GM:先制判定を振ってください。
サンジ:くそ、何とかならないのか?

ならなかった! PCは全滅。コレは新機軸。
で、一人だけ何とか逃げのびたキャラと、新規に作り直したPCで再挑戦っていう、アレ、これ墜落世界のプレイレポじゃないですよね? リプレイを読む限り、同人ゲーで全滅前提のバランスだった墜落世界とどっこいの難易度に見えるのですが。

どうやら、一体のくそつよい魔物を、人知れずパーティーで追い詰めたり追い詰められたりするハンティング・ゲームのようです。『死ぬことと見つけたり』の熊撃ちの噺を思い出しました。シートン動物記とか、ジョジョ四部のネズミの噺とかのイメージですね。
以下箇条書。

  • PCが犬。に意外にも抵抗する齋藤氏。絶対隷奴のリプレイでナマコのPCを作成した人間と同一人物とは思われぬ。
  • 冒険企画局の定番、脚注。いちいち面白い。

ジャンクフードをぼりぼり食べるのはテーブルトークRPGにおける伝統である。このとき食べたジャンクフードはRPGの神に捧げる供物となり、カロリー計算から省くことができる。

  • ノールール領域での口プロレスで戦闘の不利を何とかしようとするプレイヤーたち。そしてGM
  • HPにあたる「モラル」が0になっても死なず、その状態で一度に一定以上のダメージを食らってはじめて生死判定になるのね。
  • 回避判定に何度でも挑戦できるルール。上と合わせて、確かに死にづらそうに見える(見えるだけ)。
  • 勝利のお守りって心強いですよね。TRPG界隈に伝わる都市伝説、妖怪「1足りない」除け。これも冒険企画局の定番?
  • なんだかんだで盛り上がる決戦フェイズ。「……練習していい?」「ダメです」シノビガミの時も思ったが、プレイヤーに萌えさせるのは卑怯。もっとやれ。イラストもすごく良い。
  • ラスト。PC1の選択とキャンプファイヤー。化物の肉でバーベキュー。なぜかしんみり。GMが今までの悪態が嘘のような良い演出をする。
  • そしてあとがき。……犬食いゲー。そっちも是非形にして欲しかったが、シリウス、食われなくて良かったね。PCに。